誤解 公安委員会と公安部

盗聴、尾行等あらゆる手段を駆使して諜報活動を行う公安部に対しては、
よく分からないというイメージと人の秘密を嗅ぎ回るという業務の性格から、
なにやら不気味なイメージを持っている方も多いと思います。

しかし、行政の監督を目的とする行政委員会のひとつとして存在する
公安委員会と公安部は全く別の組織です。

本来まったく対立する組織である筈で、例えば秘密業務を特殊権限で
遂行する公安部のようなセクションによる不当行為がないようしっかり監督する
ことが公安委員会の使命なのです。

何故機能不全に陥っているのでしょうか。どのような形が望ましいのでしょうか。

行政委員会のひとつとして

行政は公権力ですから、公共の福祉に基づき一部基本的人権を制限します。
それだけに適正、公正な執行が要求されます。

大日本帝国から日本国への移行に伴いひとつのアイディアとして生まれたのが
行政委員会でした。

行政委員会の種類

行政委員会には選挙管理委員会、教育委員会等があります。
このふたつが市町村に置かれるべきとされるのに対し都道府県に置かれるべき
とされる物の中で最も身近な問題に関わるのが公安委員会といえるでしょう。

これは特に大きな公権力(逮捕権、拘留権)を行使する警察の監督を目的
とする筈でした。地方自治法により規定されています。

これに対し国家公安委員会は国家行政組織法による行政機関として
規定されています。目的は他の地方の機関と国の機関の関係と同じです。
ここに共通の問題が感じられることでしょう。

国家公安委員会支配の構図

日本国行政機関の動脈硬化の原因はひとつ。中央に予算の分配権があり、
これを配分することで支配権を得ている構図なのです。

もちろん政府による再分配行為が資本主義の大原則で,これにより健全な
マーケットを生み出すことが封建主義との差異ですが、これは対個人に
行われるべき事であり、社会保障として実現されるべき事と考えます。

様々な議論が予想されますが、地方行政府の独自性を奪い補助金で縛る
やり方が画一的で進歩のない行政を生みました。まさに社会主義国家の轍
を踏んでいるわけです。よく同じ物に例えられる日本官僚主義によってのみ
正当化されるおかしなシステムといえるでしょう。

各自治体に独自予算による裁量権を与えなければ住民も本当の危機意識
を持って選挙には望まないでしょう。補助金を取ってくるのがよい首長の現在は
様々な問題を抱えながら、財政破綻の悪夢を現実にしてしまいました。

都市の税収を地方に補助金としてばらまくことで都市のインフラの未整備と
利用者がおらず採算の取れない金食い虫の地方のインフラという馬鹿馬鹿しい
事態だけが残りました。貰えるものは貰うという乞食根性が財政の悪化を招き
そのつけが最終的に自分に厳しくのしかかる現実が想像できないのです。

儲けたのは国家官僚の天下り組織とそれに関わる企業だけでした。

このモデルにそって、自民党におかしな立法をさせて、公安委員会を支配した
警察庁が、交通安全協会に代表される犯罪組織を通じての集金や
パチンコプリペイドカード利権を握り、数千憶もの利権を確保しているのです。
さらには肝心の治安維持など上の空な訳です。

国家と地方

明治維新以来、一貫して遅れた立場から国力の増強を計ってきた我が国は
そのあらゆる資源を一元的に運用し効率を求め、それによる犠牲には目をつぶる
というのもひとつの方法であったといえるのでしょう。

そしてそれは成功した面もある訳です。全てを国が管轄し地方を指導する事で
ばらつきのない ”平等” な行政を執行できるという官僚の理屈もかつては
理解されました。

しかし、現況を評価するとこの理屈は空論でしかなくなったことが分かります。
各論を見ずに総論で語られているために不注意な大衆は気付いていないのです。
地方機関の役割はまさに各論を掘り下げることにあるのです。

行政単位はなるべく住民に近い狭い範囲が理想です。業務効率と秤に掛け、
各論を掘り下げることが利益につながります。現在のような国の出先機関、国に
支配され同じような総論的な仕事しかしないのであれば必要性から問われることに
なるでしょう。

国以上の品質を許さない

どうしても自らの利益のため権益を守りたい国家官僚は地方が独自の判断で
国の法律を超える品質を許さないのです。例えば建築基準法は最低限のきまり
なのですが、これを上回る規定は国の判断を上回るものとして許さないのです。
どういう風に許さないかというと補助金を止めるという手法です。地方の課税権
を奪ってあるのです。ふりかざしているルールは不公正障壁でありルールといえる
ものではないでしょう。

政治と違う立場で行政を行う

さて、中央支配の話しはさておき、行政委員会の本来の意味を考えてみます。

行政は当然ながら、政治=議会活動(立法府)とするならば、まったく別個
のものです。
内閣総理大臣とはことなり、地方の首長は議会でなく、住民による選挙で
選出されます。
 このことはまさに地方自治体の役割、その首長の役割を物語っているのでは
ないでしょうか。

地方議会も条例を制定できるとはいえ、法律を作るわけではないですから、
首長と協力して行政を企画していく意味合いが強いはずです。

では何故さらに行政委員会があるのでしょうか。
警察庁を始め高級官僚や自民党議員が、現状でよしとするのは、この大切な
点が分かっていないのです。(分かっていて、本来の機能をすると邪魔なのかも
しれません。)

行政委員会は行政上の執行権を持つ

首長に求められるものは、リーダーシップ、それを実現させるための判断力、
実行のための決断力といったところでしょうか。しかしながら、多方面に渡る
行政のすべてを首長が把握することは不可能ですし、原則の基、継続性を
持って実務に当たらなければならない行政行為もあります。

新たな企画、改善案などは首長の仕事でしょうが、すでに決定されたことを
実務的にこなしてゆくために実行部隊とともに必要なのが監督、監査機能

まさに、そこに行政委員会の役割があり、その機能の実効性のために執行権
が必要になるのです。

首長の執行権とならぶ独自の執行権の意味

いうまでもなく、この行政委員会の執行権は公共の福祉の実現のためにある
のです。首長が任命権を元に責任を持ち、議会がその決定を監督し、決定
そのものの有効性は裁判所が審査します。

このシステムの中で我が国の司法の弱さ故、審査請求は不利益行為の後で
賠償は国家賠償になる点、事実上の救済処置はないことをよく理解下さい。
これを公安委員会が逆手に取っていて、その背後に警察組織があるとしたら。

そのシムテムが組織に巨額の利益をもたらしていたとしたら・・・。
皆様どのようにお感じになり、なにをなすべきだとお考えになるでしょうか。

私は先ずは、国民陪審員制度の適用をこの分野から始めることを提案します。

そして、任命権者は首長であることを覚えて置いて下さい。選挙権はあるのです。

行政委員会を考える上の原則

行政委員会を理解しその理想を考えるために知っておいて頂きたい原則は政治的
中立性、専門性、第三者性の3点です。

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